Q.トラスツズマブBS「第一三共」によるInfusion reactionについて教えてください。 (症状、発現機序、発現率、発現時期、対処法、再投与、予防方法)

A.

本剤においてもInfusion reactionに関連する症状が報告されています。(以下、先行バイオ医薬品とはトラスツズマブ(遺伝子組換え)製剤を指す。)
【症状】
・おもな症状(通常、軽度~中等度): 発熱、悪寒(寒気)
・その他の症状(通常、軽度~中等度): 嘔気、嘔吐、疼痛、頭痛、咳嗽、めまい、発疹、無力症など
・重篤な場合*
[アナフィラキシー様症状] 低血圧、重度の血圧低下、頻脈、顔面浮腫、めまい、耳鳴、呼吸困難、喘息、喘鳴、血管浮腫、咽頭浮腫、気管支痙攣、呼吸不全、非心原性肺浮腫、胸水、低酸素症など
[肺障害] 気管支痙攣、急性呼吸促迫症候群など

Infusion reactionのうち、アナフィラキシー、肺障害等の重篤な副作用(気管支痙攣、重度の血圧低下、急性呼吸促迫症候群等)が発現し死亡に至った例が先行バイオ医薬品において報告されています。
これらの副作用は、特に安静時呼吸困難(肺転移、循環器疾患等による)のある患者又はその既往歴のある患者さんにおいて重篤化しやすいので、患者さんの状態を十分に観察しながら慎重に投与してください。

【発現機序】
一般的に、モノクローナル抗体に対するinfusion reactionや過敏症は、即時型および遅延型の過敏症または過剰反応、自己免疫疾患、またはアレルギー反応のような免疫機能の低下によるものと推測されています。一方で、サイトカイン放出症候群のようなほかの機序も関与している可能性があります1)

【発現率】
手術可能なHER2陽性の乳癌患者さんを対象とした本剤の海外臨床試験における発現状況(本剤との因果関係が否定できないinfusion reaction)は次の通りです。
・術前補助化学療法期(海外データ)
 トラスツズマブBS「第一三共」投与群(364例):14例(3.8%)、先行バイオ医薬品投与群(361例):12例(3.3%)
・術後補助化学療法期 (海外データ)
 術前・術後補助化学療法期ともトラスツズマブBS「第一三共」投与群(349例):10例(2.9%)
 術前・術後補助化学療法期とも先行バイオ医薬品投与群(171例):4例(2.3%)
 術前補助化学療法期には先行バイオ医薬品、術後補助化学療法期にはトラスツズマブBS「第一三共」を投与した群(171例):2例(1.2%)
・試験全体(海外データ)
 術前・術後補助化学療法期ともトラスツズマブBS「第一三共」投与群(364例):19例(5.2%)
 術前・術後補助化学療法期とも先行バイオ医薬品投与群(190例):9例(4.7%)
 術前補助化学療法期には先行バイオ医薬品、術後補助化学療法期にはトラスツズマブBS「第一三共」を投与した群(171例):9例(5.3%)
・ 初回投与時にあらわれやすく、2 回目以降発現頻度は低くなっています。
【発現時期】先行バイオ医薬品の臨床試験において、投与中または投与開始後24時間以内に多くあらわれます。投与開始後24時間以内のinfusion reaction(症状:発熱、悪寒、悪心、嘔吐、疼痛、頭痛、咳嗽、めまい、発疹、無力症など)が約40%の患者さんで報告されています。

【対処法】
点滴中に異常が認められた場合:点滴静注を中断し、症状が回復するまで慎重に経過観察を行ってください。必要に応じ、下記の「対症療法」を行います。症状が回復した後は、点滴速度を遅くして残りの薬剤を投与するか、投与を延期します。
点滴後に発現した場合:必要に応じ下記の「対症療法」を行うとともに、症状が回復するまで慎重に経過観察を行います。

【再投与・予防方法】
重篤な症状が発現した患者さんに対する再投与の可否を判断する基準は、確立していません。また、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤などの前投薬の有用性は確認されていません。

引用文献:
1)Iwata Y, et al.:J Toxicol Sci 2016;41(4):523-531

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