Q.イナビル吸入粉末剤の治療はなぜ、1回で完結するのですか?

A.

脂溶性プロドラッグという薬剤特性により、イナビルによる治療は1回で完結することができると考えられています。
イナビルはプロドラッグで、活性代謝物ラニナミビルに長鎖脂肪酸であるオクタン酸がエステル結合しています。そのため脂溶性となり、細胞膜透過性に優れています。細胞膜透過性に優れたイナビルは、インフルエンザウイルスの感染・増殖の場である気道や肺の上皮細胞に容易に取り込まれます。

そして、上皮細胞内のゴルジ体に存在する加水分解酵素エステラーゼによって、活性代謝物ラニナミビルへと効率よく変換されます。活性体のラニナミビルは水溶性のため、細胞膜を透過しにくくなり、長時間にわたってゴルジ体内に貯留されます。

上皮細胞に侵入してきたインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼは、ゴルジ体を通って成熟していく時、そこに貯留しているラニナミビルと強く結合します。ノイラミニダーゼはラニナミビルとの結合体として、細胞表面に新たなウイルス粒子を形成します。この子ウイルスはラニナミビルによってすでにノイラミニダーゼ活性が阻害されているため、シアル酸との結合を切断できず、ウイルスの増殖が抑制されます。

イナビルは、エステラーゼによって速やかに脂溶性から水溶性に変換されるという特徴を活かし、気道や肺の上皮細胞内に長時間貯留します。そして強力かつ効率よくノイラミニダーゼを阻害し、ウイルスの増殖を抑制するため、イナビルによる治療は1回で完結することができると考えられています。

出典:
インフルエンザ情報webサイト インフル・ニュース 『なぜイナビルの治療は1回で完結できるのか? ~「薬剤特性」の観点から、その理由を考える~』

【参考:インフルエンザ情報webサイト インフル・ニュース 『なぜイナビルの治療は1回で完結できるのか? ~「薬剤特性」の観点から、その理由を考える~』

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